仕事をする「理由」


From:高橋政史

恵比寿のカフェより、、、

 

時代のキーワードは「シンプル」。

シンプルに生きるための処方箋が女性誌やビジネス書の表紙を彩っています。

そして、そのアプローチはお決まりの「シンプルになるためのテクニックを手に入れる」こと。でも、「これって、そもそも矛盾している…」と思うわけです。

その理由は、、、

「シンプル=1つにする」

ことだからです。だから、本来は、テクニックを増やしたり、あれもこれも考えたりする必要がないわけです。でも、そうなると100ページ~200ページのボリュームの必要な書籍という商品にならないので、書籍化するためには「テクニック」をふんだんに盛り込むわけです。

 

すべてがシンプルになる「理由の書」

 

シンプルになると、物事はうまくいきます。でも、本の中や、雑誌の上では、そのことがきれいにまとめられているものの、自分の頭の中は、シンプルと真逆の世界…混乱とかカオスの世界に…。ということを感じることはありませんか?

私もよくあります。でも、そんなとき、1枚の紙を取り出します。それは、私が「理由の書」と呼ぶものです。

「理由の書」

といっても、紙1枚ほどのスペースに書かれたいくつかの言葉です。そのいくつかの言葉は、長年かけて磨かれて、結晶化された言葉で、私自身が「仕事をする理由」を自分なりの言葉でまとめたものです。

正解というものではありません。

また、他の人にあてはまるかといえば、たぶん「NO」です。なぜなら、「理由」というのはその人がそれまで経験してきたことのすべてが詰まっているもので、他の人がその言葉を受けて表面的に使おうとしてもうまくいきません。

ということで、「理由の書」は自分だけのためのものと「用途」を限定しています。

理由があれば、人はシンプルになれる。

と思うわけです。逆に、、、

理由がないと、人はあれもこれも大事に思えて、あるいは表層を漂っている情報や知識に振り回されてしまい、自分がいまこの瞬間すべき行動をとることができなくなってしまう…ことがあります。

だから、まずはじめに「理由」ありき。

 

理由=原点。100個の理由。

 

理由からスタートすると、物事はシンプルになります。そして、忙しい日常に埋没してしまい、方向性を見失いそうになっているときでも、「理由=原点」に立ち戻ることができれば、一瞬で大事なことにフォーカスすることができます。

いま、方眼ノートを指導する0期のメンバーの方々に「方眼ノートを教えたい理由」を「100個」書き出してもらっています。早々と提出された方もいますし、まだ悪戦苦闘している人もいます。

方眼ノートは、不思議なノートで、そのセンタースペースに、解釈(理由)を展開するスペースがあります。そして、「センタースペースを制する者、ビジネスも勉強も人生すらも制する」というようなニュアンスのことを『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』の中で書いたように、そのセンターには「その1枚の方眼ノートを、いまこの瞬間に書く理由」が浮かび上がってきます。

そして、自分の頭の中にあるイメージを方眼ノートの上で繰り広げていくとき、センタースペースのところで、その理由を書き出しているうちに、そこにある「本当の理由」に遭遇した瞬間、その1枚と自分の仕事や人生が交わる交差点に立つような感覚を覚えるのです。

その「本当の理由」が出現する交差点…。

そこには、「理由=過去・現在・未来」があります。

この「理由=過去・現在・未来」というのは、うまくまだ私が言語化できていないところなので、あなたの理解を少しすすめていただくために、、、

私が方眼ノートを「教えずに教える」現場づくりと指導者づくりをしている理由のひとつをご紹介しましょう。

 

なぜ方眼ノート指導なのか?

その原風景の場所と「10の理由」

 

私が、「なぜ方眼ノート指導なのか?」、そのワンシーンを切り取りお届けすると、そこにはある一人の「教育に情熱を注ぐ校長先生との物語」があります。その校長先生とは、千代田区・麹町中学の校長先生です。

2015年春より、方眼ノートを「全校生徒・全教科・全教員」で使うことを英断し、そのリーダーシップでもって、方眼ノートが生徒の学習と未来のスタンダードになる新しい現実をつくられました。

この1年にわたる物語には、「なぜ方眼ノート指導なのか?」の「10の理由」があります。

1.2020年問題…「考える教育」の時代に向けて千代田区として麹町中学として、「ノート=考えた軌跡が見える場所」を変えたい!という新しい現実がそこにあったから。

2.「大人になっても使えるノートを子どもたちに!」という校長先生の思いとそれを体現していった新しい現実がそこにあったから。

3.高校2年での挫折体験…。校長先生ご自身、中学のときノートをいっさいとらずに成績がよかったのです。でも、それは高校2年の春までで…。その時、ノートに目覚めます。そのとき思ったそうです。「もっと早く気づいてたら…」と。自分と同じ体験を生徒さんたちにさせたくない思いがあり、それを体現した新しい現実がそこにあったから。

4.ずっと探してきた…。1の「考える教育」へのシフトとも関連するのですが、校長先生はずっとこれまで全国各地さらには海外など、いろんな教育現場でのノート術を研究してきました。でも、2の「大人になっても使える」という眼鏡に叶うノートに巡りあうことができませんでした…そして、その「ずっと探してきた…」ノートが方眼ノートだったのです。

5.校長先生とはじめて校長室でお会いしたとき、校長先生はボロボロになった1冊の本を手にされていました。『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』です。最初は、お受けするかどうか思っていた方眼ノート指導を、校長先生が手にもつボロボロの1冊の本を目にした瞬間、1mmの迷いもないく「やろう!」という気持ちになっていました。ここまで、子どもたちのために手渡すノートを検証されている方はいない…と思ったわけです。

6.校長先生ご自身、授業中の生徒たちのノートのとり方に「ずっと疑問に思ってきた…」のだそうです。以前は、教育委員会の立場から、そしていまは校長先生という立場から、その「疑問」を解決へと導く方法として方眼ノートが、その役割を果たしていたからです。

7.方眼ノートの導入に一番モチベーションが上がったのは、じつは先生たちでした。先生たちへの指導会のときも積極的に質問されて、こちらのアドバイスをそのまま取り入れて、授業の構成や手順さらには黒板の板書の書き方までも変えていかれました。中には、来年定年を迎えられる先生はあと1年という期間を残して、ご自身の授業をがらりと変えて、生徒が方眼ノートを書くことをベースに変更されたりしていました。こうした「先生たちの目の色が変わったこと、先生たちによる変革の取り組み」を目の当たりにしてしまったからです。

8.この方眼ノートの導入の取り組みには、千代田区の教育委員会そして校長先生と先生方の他に強力が援軍いました。それは、PTAと親御さんたちです。年末になると、PTAの集まりなどでは「うちの子のノートが…」というようなうちの子のノート自慢が繰り広げられるような光景があったと聞きました。親御さんたちが学校に「ぜひ!」とプッシュしてくれるような方眼ノートの導入の取り組みがそこにあったからです。

9.校長先生は、お会いするたびに、生徒たちとの方眼ノート談義を話してくれました。生徒さんたちは、みごとに方眼ノートを自分の武器に変えていました。その活用について校長先生に話しているシーン、生徒たちの声を聞くにつけ、「ノートを手渡すことの価値」を深く認識させられたからです。

10.12月の公開授業でのこと。理科の実験室での理科の授業。「はい、それではあとラスト5分なので、右上のスペースのところに3ポイントを記入できる方は記入してください」と理科の先生の声が響き渡ると、生徒が一斉に鉛筆をA4方眼ノートの見開きの右上のところに3ポイントでその授業の内容をまとめていく光景…。他にも、授業とノートが一体化した授業のすすめ方と生徒さんたちのノートの上で躍動している思考の展開(丸写しではなく、そこに得られた情報→思考の展開→結論というロジックの流れができていました)の現場を目の当たりにしてしまったからです。

 

1つの舞台に「10の理由」

 

一気に書きなぐりましたが、、、千代田区麹町中学を舞台に繰り広げられた「10の理由」が私を「なぜ方眼ノート指導なのですか?」に駆り立てる理由のひとつとしてあります。

長々と書いてきましたが、、、話をもとに戻すします。人の仕事には、いろんな「リアルの現場」があり、そのリアルから生まれる数限りない物語があります。その「物語を目撃してしまった瞬間=理由」があるから、人はその仕事に夢中になれるのかもしれません。

物事をシンプルにする「魔法の2文字」=理由には、その人が、何かをする上での「エネルギーを高めてくれる秘密」が隠れている場所なのかもしれません。

ぜひ、ご参考にされてみてください。

それでは、またお会いしましょう。

高橋政史

 

※第1期の募集開始が「3月3日から」になりました。

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