『選択の科学』の前に『才能が9割』
今日ご紹介する1冊は『才能が9割』(北端康良、経済界)です。
この本を読み終えた瞬間、脳裏に浮かんだ1行は、『選択の科学』の前に『才能が9割』。そして、つくづく思うのは「選択が科学できるように、才能も科学できるのかもしれない。そして、才能を科学(客観的な事実に基づき再現性のあるロジックを生み出す)できたら、人は本当の豊かさに巡りあえるのかもしれない」ということです。
よく「自分には才能がない・・・」という表現を耳にしますが、この本を読むと、この「自分には才能がない・・・」というひと言が、自分の才能を閉じ込める倉庫の鍵として作用し、思うような能力を発揮できない現実が見えてきます。
本書の冒頭は、将棋の羽生善治プロの次の言葉からスタートします。
私は以前、才能は一瞬のきらめきだと思っていました。
けれど今は、10年とか20年とか30年とか、
同じ姿勢で、同じ情熱を傾け続けられることが、
才能なんだと思っています。
羽生善治
この中にある「才能」「一瞬」「10年」「姿勢」「情熱」というキーワードが登場する。これら5つのキーワードの真ん中を射貫くのが「感情」の2文字。そして、本書では、その「感情」の2文字を、人の豊かさに変えてくれるのが「2つの力」と「3つの質問」と「5ステップ」が紹介されています。
「才能」というコインの裏側にある「感情」という鍵を手に入れる。そこから本書で展開されていく「2つの力」「3つの質問」「5ステップ」が織りなす『才能の科学』。「才能を科学する」シンプルな世界の音色に耳を傾けていくうちに、何かを成し遂げるのに欠くことができない土台=「自信」が自分の心の奥底から沸いてきて、その沸いてきた自信とともに、目覚めの時を待つ「自らの才能」がゆっくりの覚醒していく。そんな、不思議な感覚を覚えます。
人生は選択の連続。その選択の善し悪しを分けるのは「選択を科学する力」と「直感力」。そして、その「直感力」の原風景には「才能」という2文字があります。これまで、ボンヤリと眺めていた「才能」溢れる世界に、光が差し込み、自分という才能にフォーカスが定まる、その導きとなる1冊です。
以下、本書の中で、私の心にとまったフレーズの一部を紹介します。
・クリエイティブな仕事をするには、アイデアを生むインプットの感性と、アウトプットする思考力、商品・サービス化する技術力が必要です。アイデアとは、ほかの人が思いつかないユニークなもの。ここでも才能が必要とされます。
・シンプルにいえば、感性が必要な「クリエイティブな才能」と「感情を扱う才能」。大きく分ければ、この2つがこれから求められる才能です。
・(ココ・シャネル)「どうして、ショルダーバッグを開発しようと思ったのですか?」その質問にシャネルは、こう答えました。「手が不自由だから」
・才能の源泉とは、あなたが人生で最も大切にしたい感情。それを価値観に変えたものを「コア・コンセプト」と呼んでいます。
・「大切なことはブレないことではなく、「戻る力」を身につけること
・才能とは過去から未来に続く一貫性です。
・子ども時代「歌手になりたい」と親に言ったら、「それで食っていけるのか?」と反対された。